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有酸素運動の目標心拍数

健康体力科学04-06

ヘルス・フィットネス・サイエンス04-06

Health/Fitness Science 04-06

 

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有酸素運動の目標心拍数

 

 この西端泉のブログ講座「健康体力科学」では、健康・体力づくりのための身体活動について、科学的に解説しています。

 前回(32回)、American College of Sports Medicine(アメリカスポーツ医学会:ACSM)の“Guidelines for Exercise Testing and Prescription(以下、ガイドライン)”の最新版である11th Edition(第11版)に基づいて、「有酸素運動の処方」について、解説しました。

 その中で、(相対的)運動強度は、%心拍予備、ないしは%最大心拍数によって設定することを確認しました。しかし、具体的な計算方法については、解説しませんでした。解説しない理由として、他に多くの解説書やWebサイトで解説されているからと説明しました。しかし、実は、他に、解説しなかった理由があります。

 

年齢推定最大心拍数

 

 フィットネス・クラブなどの健康・体力づくり運動施設で、一人ひとりの最大心拍数を実際に測定することは、まず、ありません。このため、最大心拍数は、年齢によって推定するのが通常です。その際の計算式としては「220−年齢」が用いられることが多いのですが、ACSMのガイドラインの最新版である第11版では「208−年齢×0.7」という計算式を用いるように示しています。

 しかし、いずれの計算式を用いるとしても、その計算結果には、最大で30拍/分程度の推定誤差が含まれます。

 例えば、30歳の、見かけ上健康だが、これまで運動習慣がなかったために、中等強度の有酸素運動から健康・体力づくり運動を始める顧客がいるとします。まず、年齢から最大心拍数を推定計算すると、

 

208−30×0.7=187

 

となります。ACSMが示している%最大心拍数(ゼロ・トゥ・ピーク)法による中等強度は64%〜76%なので、目標心拍数は、

 

187×0.65〜187×0.76=121.55〜142.12=122〜142拍/分

 

と計算できます。

 ところが、年齢による最大心拍数の推定には最大で30拍/分の誤差があるので、この顧客の実際の最大心拍数は、

 

187±30=157〜217拍/分

 

の間にあります。もし、顧客の実際の最大心拍数が高く、187+30=217拍/分であった場合、計算した目標心拍数の下限である122拍/分は

 

122÷217=56%

 

にしかなりません。56%という値は、ACSMが示している低強度の下限である57%すらも満たしません。そうすると、この顧客は、「こんな楽な運動で良いのか?」と物足りなさを感じる可能性が高いと思います。

 反対に、もし、顧客の実際の最大心拍数が低く、187−30=157拍/分であった場合、計算した目標心拍数の上限である142拍/分は

 

142÷157=90%

 

となり、ACSMが示している高強度の上限である95%に近い強度で、初心者が運動することになってしまいます。そうすると、この顧客は、「こんなにつらい思いをしないと健康管理や体力づくりができないのか?」と思い、二度と、あなたのところに来なくなってしまうでしょう。

 「効果を得るために必要な最低限の運動強度」および「安全性を確保するための運動強度の上限」という概念を理解するために、「目標心拍数」を勉強することは良いことだと思いますが、このような大きな推定誤差を含む計算結果を実際に使用することに対しては、私(西端)は、疑念をぬぐえません。

 次回も、引き続き、有酸素運動の調節方法として、目標心拍数を用いることの現実的な問題点を考えたいと思います。

 

本ブログの著作権は「西端 泉」に帰属します。図・表を含めて、無断転載や加工は、著作権侵害になります。

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