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健康関連体力

健康体力科学03-03

ヘルス・フィットネス・サイエンス03-03

Health/Fitness Science 03-03

 

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# 心肺持久力

# Cardiorespiratory Endurance

# 健康づくり運動

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# 体力づくり運動

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健康関連体力

 

身体活動・生活活動・運動

 

 この西端泉のブログ講座「健康体力科学」では、健康・体力づくりのための身体活動について、科学的に解説しています。

 本シリーズ講座の初回に、「スポーツ」という言葉を定義しました。ところが、今回で23回目になる講座ではあるものの、意図的に、とても重要な言葉の定義をせずに、解説を続けてきました。そのとても重要な言葉とは、「身体活動」と「運動」です。

 第21回の講座から「体力」に関する解説を始めているのですが、体力を高めるための運動の説明をするためには、「運動」の意味を明確にする必要があることから、今回、ようやく、「身体活動」と「運動」の違いを確認することにしました。

 図は、厚生労働省が、「身体活動」、「生活活動」、そして「運動」の違いを説明するために、『健康づくりのための運動基準2006』の中で使用しているものです。実は、『健康づくりのための運動基準2006』は改定されて『健康づくりのための身体活動基準2013』に変わっているのですが、タイトル自体が、2006年版の「運動」から、2013年版では「身体活動」に変更になっています。

 「身体活動」とは、自らが自分の身体を、自分の骨格筋を活動させることで動かす、全ての動きのことをいいます。

 「生活活動」とは、生活を送るために行う身体活動のことです。

 「運動」とは、生活を送るためではない、別の目的のために行う身体活動のことです。その別の目的には、「動きたいから」動く場合のスポーツや、健康や体力を維持・向上させるために行う「健康・体力づくり運動」等があります。

 本シリーズ講座の初回から8回まで、健康のために身体活動量を増やした方がよいとことを説明しましたが、つまり、「健康のための身体活動は、生活活動でもよい」ということだったのです。

 

図 身体活動・生活活動・運動

 

全身持久力

 

 前々回(21回)の講座で、珍しく、2つの宿題を出しました。2つ目の宿題については、前回(22回)説明したので、今回は、1つ目の、文部科学省の「新」体力テストの種目の中で、健康と関連性が強そうなものと、そうでないものを選びます。健康と関連性が強い体力は「健康関連体力」といいます。

 新体力テストの20〜64歳対象の種目には、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横とび、急歩、20mシャトルラン(往復持久走)、立ち幅とびがあります。

 これらの中で、最も健康と関連が強いのは、急歩ないしは20mシャトルラン(往復持久走)で、体力要素としては、全身持久力です。

 前回の講座で確認したように、全身持久力とは、全身で持続的に移動する、すなわち歩き続けたり、走り続けたり、泳ぎ続けたりする能力のことです。別の言い方をすれば、長い時間運動を続けたとしても、途中で「息切れ」することのない体力のことです。

 「息切れ」しないということは、より多くの酸素を体内に取り込むことができるということです。この能力は、専門的には、「最大酸素摂取量」といいます。

 

最大酸素摂取量の制限因子

 

 体内に多くの酸素を取り込み、そして多くの酸素を消費するためには、体内にある様々な臓器の機能が優れている必要があります。

 まずは、肺を中心とした呼吸器系の能力です。しかし、実は、肺の能力にはけっこう余裕があり、オリンピックのクロスカントリー・スキーで優勝するような非常に高い最大酸素摂取量が要求されるような場合を除いて、健康であれば、呼吸器系の能力が一般人の最大酸素摂取量を制限することはありません。ただし、肺がんなどで肺の一部を切除してしまった場合、運動中に喘息発作を起こしたりするような場合、肺気腫といわれる慢性の呼吸器系疾患を有する場合などでは、呼吸能力の制限により最大酸素摂取量が少なくなってしまうことがあります。

 二番目は、心臓の能力です。酸素の溶け込んだ血液を、身体中に送る役割を心臓が果たしているので、心臓の能力が低いと、十分量の酸素を、身体各部に送ることができません。そして、この心臓の能力が、最も大きく、最大酸素摂取量を左右します。

 三番目は、血管の健康状態です。大きな血管が動脈硬化を起こし、狭くなっていると、血流量が、すなわち酸素の供給量が制限されてしまいます。これにともなって生じる重大な症状である間欠性跛行については、18回目の講座で紹介しました。

 最後が、各組織における酸素の消費能力です。とくに重要なのが、骨格筋の能力です。最大酸素摂取量が多い人の骨格筋には、多くの毛細血管が分布し、また、骨格筋細胞の中でより多くの酸素を活用できるように、有酸素性のエネルギー代謝に関わるミトコンドリアの数が多く、また酵素の活性が高いことが分かっています。

 

身体活動量を増やすよりも最大酸素摂取量を増加させる

 

 本シリーズ講座の初回から8回まで、健康のために身体活動量を増やした方がよいとことを説明しました。ところが、身体活動量を理想的に増加させたとしても、虚血性心疾患の予防効果は3割程度です。ところが、最大酸素摂取量を理想的に増加させると、虚血性心疾患を6割程度予防することができることが多くの研究結果が示しています。

 

最大酸素摂取量を増加させるためには「運動」が必要

 

 今回は、最初に、生活活動と運動の違いを確認しました。なぜそのようなことをしたかというと、生活活動では、最大酸素摂取量を増加させる効果が限られているからです。別の言い方をすると、日常生活の中でできるだけ身体を動かすように心がけるだけでは、最大酸素摂取量を十分に増加させることはできないのです。なぜ、生活活動では、最大酸素摂取量を増加させる効果が限られるのか、それは、強度が足りないことが多いからです。そして、持続時間も短過ぎることが多いからです。

 より安全に、そして効果的に最大酸素摂取量を高めるためには、科学的根拠に基づいた「運動」の処方が必要になります。

 

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